2022/04/28 20:46

私が生まれて初めて猫を飼ったのは阿佐ヶ谷で一人暮らしをしてた1997年の梅雨時。

大学生の友達よっぴーから
「猫飼わない?雄雌どっち?」
いつもテンション高めのよっぴーが、もうこっちが飼えるかどうかもおかまいなしで電話越しにまくしたてる。

そのころ色々あってメンタルどんより目だった私は重い腰を上げて仙川のよっぴーの下宿まで出かけた。

その頃の仙川はいまとちがってスタバもなんにもない。改札の目の前に大きな桜の木と大きな空き地のだけのところだった。

雨の中、傘をさしてとぼとぼ歩いていくと、果たしてよっぴーと妹の住む下宿。大きな長屋で縁側が玄関で6畳と8畳の和室の家でお風呂は大家さんのところで入るのだという、その頃でもかなり古風な作り。

縁側に座るとよっぴーがそっと小箱に入れた子猫を見せてくれた。サバ色のハチワレが男の子、ほぼ白で額の部分にすっぺさがりの眉のような模様のあるのが女の子。
朝学校に行こうとしたらよその家の軒先でぴゃーぴゃー鳴いていて、母猫が来るといけないからそのまま通り過ぎたら、帰って来る頃もそこにいて慌てて保護したそうな。
行く前はぼんやり女の子をもらおうと思ってたのに、サバ色の子と目が合ったら
「あ、この子だ」
とピンときた。
「ボクはどっちでもいいから」
とよっぴーが言ってくれたので、ケーキの箱に子猫を入れてうちに連れて帰ってきた。

箱から出たよちよち出てきたその子、ハッと気づいたら子猫用のフードも何も用意していなかった。(猫を飼い慣れたいまならわかるツッコミどころが満載の初めての飼育)慌てて、更に牛乳を入れてあげたら前足でしっかり支えて飲めない。スプーンで少しずつ上げるとぺちゃぺちゃ舐めてくれた。そのままタオルの上ですこーって寝てしまって、なんとも言えないいとおしさがこみ上げた。

続く